制作を終えて
まずは最後までお付き合い頂きありがとうございました!
連載型は久しぶりだったので、どれくらいの間隔で更新していけるかなと不安もありましたが、楽しく製作出来ました。
さて、皆さんの気になる所…「カムロ刑事の行方」だと思いますが、それについて少し言及。
カムロ刑事はどこへ消えたのか?
英国へ戻る飛行機の中、ヒナタは何気なく顔を上げて通路を歩いて行く人物に目を向けた。見覚えのある派手なスーツと後ろ姿。まさかとは思い、席を立とうとして――――飛行機が着陸態勢に入る為、ベルト装着の表示が出た。
(今の人って……カムロ刑事……!?)
不安を抱えたままヒナタは、通路の向こう側へと消えていった人物を意識していた。
その後、飛行機を降りる客の流れに逆らい先程の人物を追うも、行き着いた先にそれらしい人物はおらず、ヒナタは見間違えだったのだろうと自分に言い聞かせるのだった。(つづく)
そんな後日談も面白いなと考えていました。カムロ刑事はマフィアとの付き合いが深いので、国外へ出たり、どこかへ潜伏したり、自分を追い詰めたヒナタへの復讐の機会を狙っているかもしれない。また新たなドラマが生まれそうな予感ですが、ヒュウガ刑事が見つかったと言う当初の目的を果たしたところで一応、ゲームは完結となります。
いつかまた続きを作れるように(作りやすいように)と、LIKEMAD製作のゲームは含みを持たせた終わり方をする事が多いです。
本当に悪いヤツはそう簡単に捕まらないでしょうし、あのモリアーティ教授だって結局捕まらなかったわけですからね。でも、滝壺に落ちて云々と言うようなカタチでの決着はダメだと思っています。このキキミミに関しては。主人公が捜査官ですから、やはりここは正義の鉄槌、捕まえたらアルカトラズ刑務所へとぶち込んでやりたいですね!主人公が誰かを殺めると言うカタチは取りたくはないと思っています。
キャラクター
ここからは各キャラクターについて、グダグダと書いていこうと思います。
ヒナタ・スペンサー
ヤマト探偵を出すゲーム(スピンオフ)と考えた時に、どんな主人公なら良いコンビになるだろうかと思案。ヤマト探偵は優秀と言う位置づけなので、理性的な頭脳派とは正反対の方が面白いだろうなと、愛嬌のあるヒナタと言うキャラが出来上がりました。
ゲームシステムとの兼ね合いもあり「サイキック」とし、それ以外は基本ポンコツ。ドラえもんで言う所の「のび太」です。すぐに誰かさんを頼る辺りはそっくりですね。ですが、国際特別捜査官になれる程なのでそこそこやり手ではあります。それでも超能力キキミミがあるから、捜査官に採用されたのは揺るぎない事実ではあります。
ヤマト探偵へ全幅の信頼を寄せています。それは兄であるヒュウガ刑事が助けた青年であると言う事が大きな理由ではありますが、フィーリング的な部分ももちろんあると思います。
キャラデザインに関しては、陽だまりのような明るい女性をイメージしました。ヒナタの帽子は特に意味はなくファッションですが…帽子被ってる女の子って可愛くないですか?
大和 京介(ヤマト キョウスケ)
もう一人の主人公…は言いすぎですが、このキャラクターの為に出来たゲームと言っても過言ではないです。当時アンケートに投票して下さった方の満足するカタチでの登場じゃなかったかもしれませんが、一生懸命考えてゲームを作りました。
歯の浮くようなセリフも平然と言えるような図太い神経の持ち主で、ブラックコーヒーをこよなく愛しています。ヒナタをからかっている節があり、ドキドキさせて楽しんでいるような側面も垣間見えます。
飄々としている印象を受けるでしょうが、ヒュウガ刑事への恩義を感じ、その為ヒナタへも協力的です。内面はあつーいブラックコーヒーのような男性と言うことです。
キャラデザインは既存キャラだった為、非常に悩み気を遣いました。今までのイメージを壊さないようにと。
霞 ノリカ(カスミ ノリカ)
陰の立役者。彼女の活躍のお陰でヒナタは救われる事が多かったと思います。デキる女ってヤツですかね?ヒナタを盗撮、盗聴し、ある意味誰よりもヒナタの頑張りを見てきた人物です。そこが彼女の「ほうっておけないのよン」と言うセリフに繋がるのでしょう。因みに、Episode8で彼女とユウキ署長のラーメンエピソードを見た人はどれくらい居るのでしょうか?まだ見てないと言う方は是非、Episode8で署長室を訪れてみて下さい!
結城 崇裕(ユウキ タカヒロ)
見るからにエリート臭がするキャリア組。出世コース爆進中だった彼ですが、最後はああいったカタチで去ることに。きっと不満もあるでしょうが、彼ほどに優秀で強い人間ならどこへ行っても成功すると思います。もしかすると国際特別捜査局がほうっておかないかも!?
プレイヤーの多くが、彼へと色んな意味で疑惑の目を向けた事でしょうが、下衆な勘繰りはよせやい!ヒナタの好意が自分へ向いていると、ちょっと勘違いしていただけなんだからね!
そもそもの発端はヒナタが食事へ誘った事でしょうね。優秀な国際特別捜査官のうら若き女性が食事に誘って来るなんて、勘違いしない方がおかしいですよね!
鴻 大樹(オオトリ ダイキ)
悪い人ではないと信じて疑わなかった人もいるのでしょうか?彼は「悪い人」として作ったキャラクターの一人です。
寝不足の為、トリ小屋でよく眠っていましたよね?
それと水をかなり飲んでいましたよね?
そして、公園へ近づかない。色々と伏線は張っておいたのですが気付いてもらえたでしょうか?もうかなりズブズブです。しかし弱さ故に付け入られ、利用された悲しい人でもあります。ヒュウガ刑事を尊敬する一方で嫉妬心を抱いていた。そして、自分の保身の為ならば殺害する事も厭わない非情さを持ち合わせています。全ての結末を知った上でゲームを再プレイすると、オオトリ先輩の言動の意味が分かるかもしれません。
キキミミEpisode9で誘拐してきたヒナタに「いや、触らないで!」と言われるオオトリ先輩。
オオトリ「これが何か分かるか?」
ヒナタ「鋭い針!?何するつもりですか!」
オオトリ「その服、脱げよ」
ヒナタ「いや、触らないで!」
オオトリ「良いから脱げって!」
取れかかったジャケットのボタンを縫い直すオオトリ先輩の姿が!!
…だったら良かった。
その時のイラスト(R15)はこちら。
火野 勝繁(ヒノ カツシゲ)
このひとの名前だけは皆さんフルネームで言えるんじゃないでしょうか?ただの公園の管理人ではなく、キーマンだったわけです。アナグラムは「じ」余りでしたね。ダジャレですね。と言うのも冗談で、単に「日陰の執事」から思いつく名前が火野勝繁しかなかっただけと言うね。
JET_BLACKと言うギャングに囲われている設定ですが、火野さんは刑事だった頃に逮捕したギャング達に当たりが優しかった。なので、慕われていて守られているのです。
黒崎 雪華(クロサキ セッカ)/黒崎 青葉(クロサキ アオバ)
元々のセッカさんは明るく元気で逞しい女性でした。反対にアオバさんは大人しく、強い男性ではありません。それは回想からも明らかです。セッカとして復讐すると誓っていても、実行する事が出来ない理由のひとつでもあります。ですが、オオトリ先輩はある時に公園でセッカさんを見かけ、震え上がったので小さくも復讐は果たせたのではないでしょうか?
セッカさんが亡くなり、その魂がヒナタへ超能力を授けた…なんてスピリチュアルな裏設定があります。「ココダヨ」はセッカさんの声かもしれない!?
因みに、アオバさんは見た目こそ女性ですが中身も性的指向も男性そのものです。
サボ
意外に重要なキャラクターです。
「中瀬川で釣りしていたら〜大抵のものはここへ流れ着く」このセリフを言ってもらう為に用意しました。それと子供キャラがいないと思ったので。
花屋に憧れて髪をひとつに結んでいる。
神室 尚(カムロ ヒサシ)
基本的に第一印象のいい人と言うのは悪い人なんですよ。普通の人は第一印象もごく普通。それなのにやけにいい印象を与える人と言うのは、こちらを安心させて弱点を探っているハンターであり要注意です。ハナからヒナタの超能力を利用し、不正の証拠を集めようと目論んでいました。
自分のシマ(桜木町)を牛耳る為なら何だってする裏社会の人間特有の考えです。この町を捨てる事は余程ではない限り考えないでしょう。
捜査資料の原本が見つかった時点でユウキ署長は刑事課の入れ替えを行うファインプレー。そのせいでカムロ刑事は追い込まれて行くわけですが、さすがに前署長と違いユウキ署長の殺害は困難と判断。不正の証拠をユウキ署長の手に渡さない為にもヒナタに見つけさせようと考えていたのです。もしユウキ署長の手に不正の証拠が渡れば、確実に今の生活が崩れ去るわけですから必死にもなります。
ですが、彼は緻密に計算をするタイプの犯罪者ではありません。ですので逆上し、ヒュウガ刑事へ発泡したり、突然昔の部屋へやって来たりします。その性格がわざわいし、結局はヒュウガ刑事に不正の証拠を握られてしまうわけです。
日向 正人(ヒュウガ マサト)/花屋
このゲームの肝ですね。終始ヒュウガ刑事の失踪事件が主軸にあります。正義感の強く、警察を元ある姿に戻そうと一人闘った勇敢な人です。
記憶が戻らないままエンディングを迎えますが、必ずしも記憶が戻らない事が悲しいとは思いません。もちろんこれはフィクションの話ですので、架空の人物であると言う事を前提に話します。
ヒュウガ刑事の記憶が戻れば必ず「セッカさん」の事も思い出す筈です。本物のセッカさんは既に亡くなっており、目の前に居るセッカさんの顔をした人物は男性です。この事実を受け入れるのには、きっと相当のエネルギーを使うだろうし、自暴自棄に陥るかもしれない。
なので「たまり場の花屋」として、これからをどう生きていくか。そこが大切になってくると思います。彼をヒナタがサポートするでしょうし、ヤマト探偵も支えます。他にもサボ君やアオバさん、色んな人が共に人生を歩んでくれる。それは何ものにも代えがたい、ヒュウガ刑事と言う人が確かに築いた人脈=宝だと思います。その事実を知り、彼自身「自分は悪い人間じゃなかった」と安心する事もできるのです。
ショックのせいで白髪頭ですが、顔立ちはほとんど変わっていないのでEpisode7の時点で気づいた人はどれくらい居たのでしょうか?アオバへのミスリードもあったので、分からなかった人も多かったと思いますが……。
最後に
自分としてはBlueBirdのリベンジで女性向けADVとして製作したのですが、男性にも女性にもどちらにも楽しんで頂けたようで、それに関しては素直に嬉しく思います。
ただ女性向けと言うものをまだ勘違いしている節があるなと。ですが、そこにこだわらず色んな方に楽しんでもらえる……それで良いと思います。と自分に言い聞かせます。
元々健全でかつ王道な作品で活動したいと思い、アンダーグラウンドから出てきた人間ですので老若男女、色んな方に楽しんでもらえるゲームが作れて楽しかったです。
「私でも健全な作品が作れるんだ!」と自信がつきました。
今後はまた自分の持ち味でもあるアンダーグラウンドな界隈へ作品傾向も戻ると思います。次に考えている作品はR指定モロにつくと思うので。今までのLIKEMADの作風が好きな方には、受け入れてもらえるかは分かりません。なので、受け入れてもらえる土壌を選ぼうと言う考えもあり、フリーゲームからの撤退です。
他にも色々と思ったこと。
恋愛描写をここまで色濃く出したゲームは初めて製作したので、どうにも照れがありましたが、わりと王道な感じの「ラブ」だったんじゃないでしょうか?
ヤマト探偵とヒナタの関係は小説あたりで進展があるような、と言うかさせると思います。
健全じゃない可能性もありますが笑。
ま、その時は「二次創作」くらいの感覚で読んでもらえたらと思います。
それにしても毎回思う事は「ミステリー」は難しいと言うことです。自分では結構穴もあったように感じます。推理あたった人いましたか?どうですか?
ストーリー的にはSALVATION 月影に灯る光の方が、犯人の意外性や予想出来ない結末であると思います。
なんだかんだと書きましたが、毎回どのゲームも製作が楽しいです。アニメ絵と言うかキャライラスト書く以外は本当に楽しい思い出ばかりです。それでも完結して世に出し切ってしまうと結構興味が削がれてしまいます。不思議ですよね。すぐ「次!」となる性格のせいかもしれないですが、どの作品も大事なものにはかわりありません。それだけはしっかりと書き残しておこうと思います。
ダラダラ書きましたが「楽しんでもらえて嬉しいし、こっちも楽しかったよ!」と言いたいだけです。長い間お付き合い頂きありがとうございました!
2017/03/11 Sat.