ゲームにおける「暴力的、残虐的」とは?
Loose Lipsシリーズは「16歳以上」対象
Google Playにゲームを出す場合、IARCのライセンスを取得しなければいけません。
Loose Lipsシリーズは、主に殺人事件を扱うドラマゲーム。
健全なものであるとは言えない内容です。
どのあたりが健全ではないのかと言うと…
- 殺人事件、犯罪をメインに扱っている
- 罵り言葉、性的なニュアンスを含んだ言葉が使用される
- 未成年への性的暴行を扱っている
この辺りが15歳以上、あるいは16歳以上を対象に設定しなければいけない部分です。これとは別にどこまで表現(描写)されているのか、と言う部分もライセンスに影響を与えます。
- 絵で表現されているのか
- 言及に留まるのか
- 不安を煽る音があるのか
この辺りで更に17歳以上、18歳以上と対象年齢が変わっていきます。
要は、直接的に描かれているものは「子供は見ちゃダメ」と言うことです。
Google Playで配信しているLoose Lipsシリーズでは、レイプ殺人も取り扱うのですが飽くまでも「Aが暴行され死亡した。だから犯人を捜そう」という言及に留まっているのでレーティングが16歳以上となっています。
この辺りについては、海外ドラマを視聴する層へ向けて作っているので、特に問題もないと思います。青年誌の漫画あたりの分類と似ているのではないでしょうか。
アクションゲームで人を殺す、モンスターを殺す
よくあるモンスターを倒すゲーム。
血が飛び散ったり、断末魔をあげたり。
対人ではなくても、暴力的かつ残虐だと思うものもあります。
それが対人になるとより生々しく感じる。
血が飛び散り、骨が断たれ、内臓が飛び出す。
今は規制が厳しくなりつつあるので、血の表現は選択ができたり、対象年齢を下げる場合は演出を変えたりとゲームも時代に沿った形で配信されています。
Google Playで配信しているLoose Lipsシリーズは、これらと比べると暴力性も残虐性も遥かに低いものです。
罵り言葉と言っても主人公カサイの口癖である「クソ!(shit!)」であり、性的なニュアンスを含んだ言葉も「セックス(性行為)」と言うワードに対してのもの。
それでも演出を変え、文章を削り「16歳以上」に対応させました。
なんでもかんでも規制されると辛いものがあるのは事実です。
でも暴力を扱い、人が死ぬ。そういう作品を作っている以上、ゾーニングは大切だと思います。
しかし、Loose Lipsシリーズが「18歳以上」に区分されることには納得がいかないのです。それでも「健全 or 18歳以上」しか区分がないのであれば「18歳以上」を選ぶしかありません。
期待しませんか?
「18歳以上」だと、性的欲求を刺激する作品であると。
この区分にあると、おそらく誰もがエロいものを期待すると思います。
BL要素はありますが、エロとも言えず、恋愛描写もありません。
これはプレイした人にだけ理解ができる部分だと思うので多くは語りませんが、性的な欲求を満たす目的で作られたものとは明確に違います。
性的な欲求を満たすものを否定する気は全くありませんし、そういう作品はそういう作品として大事な役割を担っていると思います。
でもLoose Lipsシリーズにそれらを期待されるとただただ申し訳なく思います。
なので、目につく所には「恋愛なし、エロなし」と注意書きを書いています。
おかしいですよね。「エロあり」と言う注意書きならよく目にしますが「エロなし」と言う注意書きをしなければならないなんて。おかしいなこともあるもんだなぁと笑っています。
Loose Lipsシリーズは時代から外れた行き場のない作品
Loose Lipsシリーズを作るにあたって影響を受けた作品は数知れず。
そのうちのひとつが漫画の神様・手塚治虫氏の『MW』です。
洋楽に関しても車に関しても漫画に関しても。
好きなものは70年代のものばかりです。
そんな70年代と言う熱くエネルギーに満ちた時代に生まれた『MW』
あの漫画をポルノに分類するのかどうか。
それと似ている気がします。
遊びでこういう動画も作っていますが、本編に関しては、暗くて重くて陰鬱で硬派なゲームです。プレイヤーも「気が乗らないと遊べないゲーム」と言っていました。
それくらい気分が滅入るダークな作品です。
根底にあるのは怒りや復讐と言う感情ですからそう思うのも無理はありません。
だから、ゾーニングを面倒だと思うのなら健全な作品を作るしかないのでしょう。
でもゲームでは死や暴力を扱ったものは山程あります。
全年齢対象でも誰かを倒し、誰かが死ぬ。
表現がデフォルメされていたりマイルドならいいのかどうなのか。
ひとつ言えることは、Loose Lipsシリーズは時代から外れた行き場のない作品。
もし行き場のない人がいたら共感してもらえるゲームなのかもしれない。
孤立や孤独を感じたら、ちょっと手に取って欲しい。
そんなふうに思います。